住宅購入とお金の本
特集20建売住宅かハウスメーカーの注文住宅、
どちらがいいの?
厳しい寒さもだいぶ和らぎ、木々や草花が芽吹く春がやってきました。春はマイホーム探しには最適な季節です。
マイホームをそろそろ検討しようと思っている方の中には、建売り住宅を購入するか、土地を購入してハウスメーカーに注文して望み通りのマイホームを建築するか、お悩みの方も多いかと思います。
今回は、建売住宅とハウスメーカーの注文住宅、それぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。
建売住宅のメリット
建売住宅のメリットはずばり一言で言うと、立地条件の良い土地と一定の水準の建物が購入できることです。注文住宅と違って土地の売主と建物の建築主が同一なので、比較的安い価格で建築できることが理由です。震災以降気にする方が多い建物の安全性についても、どの物件も耐震性が確保されています。また、近年では制震工法を採用したり、デザイン性にこだわって建てられている物件も多く見られます。現在では住宅の品質確保の促進等に関する法律の制定や建築基準法の改正、木材のプレカットや様々な建築用金物の普及により、建物の安全品質が昔のように職人の技量に左右されにくなりました。また住宅建材の性能も上がり、建売住宅でも一定の水準を保った品質の住宅が建てられるようになり、数年前までにTVや新聞、週刊誌等で取り上げられたような欠陥住宅、手抜き工事の多くは、20~30年以上前の住宅に限られたものになりつつあります。
ハウスメーカーの注文住宅のメリット
ハウスメーカーでの注文住宅は、テレビCMやメーカーのHPで情報を見れたり、住宅展示場で実際に建物を目にすることができて購入を検討する方にとってとにかく「安心感」が最大の魅力であると言えるでしょう。免震構造や制震構造を使って建てられていたり、断熱性能や防音性能、省エネ設備等、色々な情報が提供されていることも安心感を得られる理由であります。またご自身の希望を設計やデザインに反映できる点も大きな魅力です。日本では住宅は一生涯住むものという考えが強いので、ハウスメーカーで住宅を建てるほうが失敗が少なそうで安心だと考える方が多いようです。
建売住宅のデメリット、注文住宅のデメリット
建売住宅の場合、まず間取りに関しては我慢をしなくてはいけません。売主はどうしても、誰かにとって満点な間取りよりも、あえて一般的に70点をもらえるような平均的な間取りを採用します。そうでないと売り物としての価値が出ないからです。この点ではご注文主の希望がそのまま反映される注文住宅のほうが優れていると言えます。また、住宅の性能についても、注文住宅であれば各種データや裏付けを伴ったものから自身が選ぶことができますし、デザインについても自由に考えられたり細部まで自分の好みを反映して建てることができるのに対し、建売住宅の場合はほとんど自由度はありません。
では一方で、注文住宅のデメリットはどうでしょうか?
例えばマイホーム購入にかけられる予算を4,500万円と想定します。諸経費は含みません。
大手ハウスメーカーで住宅を建てた場合、仮に延床面積が100㎡の住宅(これは一般的には十分な広さです)を想定すると、大手ハウスメーカーであれば付帯設備や外構工事(オープン外構)まで含めると、費用はだいたいの市場相場ではおよそ2,500万円ほどになります。
建物にかかる費用が2,500万円となると、土地に土地は2,000万円以内で探さなくてはいけません。
一方、一般的な建売住宅の場合の建物代はおよそ1,300万円ほど。同じように4,500万円の予算があるなら、土地は3,200万円ということになります。
予算4,500万円の場合
- 注文住宅・・・ 建物2,500万円+土地2,000万円
- 建売住宅・・・ 建物1,300万円+土地3,200万円
注文住宅よりも、1,200万円分高い土地を購入することができます。土地の価格で1,200万円というのはたいへんな価格差です。例えば30坪の土地を購入する場合、2,000万円の土地の坪単価は約66万円ということになり、神奈川県内であれば横須賀市あたりの相場です。片や3,200万円の土地の坪単価は約106万円となり、例えば神奈川県内であれば横須賀市よりも都心へのアクセスがいい京急線の上大岡や東横線の菊名あたりの相場となります。
また、資産形成という面を考えてみると、建物じたいは注文住宅でも建売でも、数十年も経つと資産価値はほぼないと言えます。仮に30年で住宅ローンを払い終えたとして、その時の土地の資産性の高い建売住宅に軍配が上がると言えるでしょう。
さいごに
このように、間取りやデザインを自由に選べて、性能と安心が買える注文住宅を選ぶか、土地の利便性と快適性のバランスが取れる建売住宅を選ぶのか?どこに重きを置くかはご自身の判断となり、どちらの選択が正しいということではありません。予算にゆとりがあり、どちらも両立できるという方なら両方を成り立たせることもできますが、そういった方はあまり多くはないと思います。たいていの方はどちらの方向で住宅購入を実現するか、決まったご予算の中で選択をしなければなりません。
最近では、建売住宅の新しい取り組みとして、フリープラン型の売り・建て住宅というものがあります。これは建売住宅の価格のまま、間取りやデザインをある程度の選択肢の中から買い主がチョイスできるという画期的な商品です。フリープラン型の売り・建て住宅であれば、建売住宅が持つデメリットをかなり取り去ることができるので、東京近郊では近頃希望される方が多くなってきています。
建売住宅、注文住宅どちらがいいかお悩みの方は、建売住宅の現地見学や住宅展示場での見学をする前に、2つの選択肢について相談できる不動産会社にいちどご相談されることをお勧めします。フリープラン型の売り・建て住宅は、公開されていない未公開物件に多いので、そのような情報もきっと見ることができると思います。
※FP住宅相談ネットワークの各社では、建売住宅だけでなく、フリープラン型の売り・建て住宅のご紹介、ハウスメーカーで建築のできる建築条件無しの土地のご紹介など、様々なご相談とご提案が可能ですので、是非お気軽にお問い合わせください。